結局コロナ感染症に対してマスクに効果はあるのか、いつ着けていつ外したらいいのかを考えた

マスクは効果があるか いつ着けていつ外すか生活・健康・医療

3月13日からマスクの着用が個人に委ねられる事になる。結局マスクはコロナの感染対策に効果があるのか、またいつ着けていつ外したらいいのかを考えてみた。

KiTsuneの見解
  • マスクは物理的に飛沫を防ぐ。大きい飛沫はカットするし何なら小さい飛沫核もある程度は防げる
  • ただオミクロンの感染力には焼石に水。感染ガチャを繰り返さざるを得ないなら日本の感染者の爆発も説明がつく
  • それでも安価でいつでもどこでも購入でき、手軽に装着できるマスクは総合的に考えて優秀な感染症対策
  • マスクが必要なのは「遮る物なく対面して喋る時」と「不可抗力の飛沫が届いてしまうほど混雑している場」の2つ
  • 他者への干渉、マスク警察は絶対NG。その行為こそ感染拡大の元

コロナはウイルスが物理的に飛んできて感染する

まずコロナウイルス感染症は物理現象だ。主に口から出る唾(飛沫感染)、もっと細かく空気中を漂うエアロゾル(空気感染)、それらが物質や手指に付着し媒介される(接触感染)、の3つが人から人への感染源と言われている。

SARS-CoV-2は、感染者の鼻や口から放出される感染性ウイルスを含む粒子に、感受性者が曝露されることで感染する。その経路は主に3つあり、①空中に浮遊するウイルスを含むエアロゾルを吸い込むこと(エアロゾル感染)、②ウイルスを含む飛沫が口、鼻、目などの露出した粘膜に付着すること(飛沫感染)、③ウイルスを含む飛沫を直接触ったか、ウイルスが付着したものの表面を触った手指で露出した粘膜を触ること(接触感染)、である。

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染経路について

業界では飛沫感染と空気感染の定義が曖昧みたいな話もあるようだが、要するに何もない場所から自然発生したり、リモートワークでWeb越しに感染したり、5Gの電波に乗って人体に届けられたりするわけではない純然たる物理現象だ(電波も物理ですが要は物質という意味で)。

感染症には感染経路がある。ウイルスが身体に入らなければ感染はしないし、感染したという事は上記の3パターンのいずれかで身体の中にウイルスが入り込んだという事だ。そのうち接触感染は主ではない事がわかっているので問題は飛沫感染と空気感染。

マスクには飛沫を防ぐ効果がある

よく少女漫画で風邪を引いた主人公とチューしたら即ヒロインに移ったみたいな描写があるが(言うほどあるか?)、そういう事だ。個人差もあるだろうし感染しても無症状のもいるが、基本的に一定以上のウイルスが体内に入る事で感染/発症する。

チューで交換される唾液の量を100とするなら会話で唾が飛んだりするのは0.1くらいのものだろうが、会話は不特定多数と繰り返すものなので感染が広がるのも頷ける。チューはダイレクトアタックだけあって強力だと考えられる。

ミクロな視点で言えばコロナウイルスという物質が身体に入る事を阻害するマスクが感染対策に無効なはずはない。要するに防弾チョッキです。

着けていなくても内臓を避けた軽傷で済む人もいれば、着けていても衝撃で肋骨が折れて重傷を負う人もいる。その中には折れた肋骨が肺に刺さり、病院が混雑している事で医療を受けられず亡くなる方もいるかもしれない。

しかしそれらは防弾チョッキの有効性を否定するものではない。「防弾チョッキを着けていても死者が出ているんだから防弾チョッキは無意味」との意見は論理的ではない。

よく「マスクの網目よりもウイルスの方が小さいんだから無意味」という説も聞くがそれはエアロゾルによる空気感染の話だ。

ウイルス自体の大きさは、0.03 μm (リノウイルス), 0.08–0.12 μm (インフルエンザウイルス), 0.050–0.2 μm (新型コロナウイルス(SARS-CoV-2))などとされていますが、それらはさらに大きい飛沫の中に含まれて気中に出てきます。話すときや咳をしたときの呼気中の飛沫の大きさは、0.01 μmから数mm程度であり、個数濃度としては2 μm前後と120–150 μm辺りにピークを持つサイズ分布をしています。

新型コロナウイルスの感染対策に有用な室内環境に関連する研究事例の紹介(第一版)

1μmは0.001ミリ。Amazonで売っているこちらのマスクはBFE(かぜなどの咳やクシャミの飛沫のろ過効率、3μm)とVFE(ウイルス飛沫のろ過効率、3μm)とPFE(微粒子のろ過効率、0.1μm)をそれぞれ99%遮断するらしい。かなり割り引いて考えても水分を含んだ飛沫は止めてくれるだろう。

くしゃみをした時。手からピッピッと水を飛ばした時。マスクだろうとアクリル板だろうとコンビニのビニールの壁だろうと、対象との間に物理的な壁があれば水のしぶきは阻害されるに決まっている。

そして空気感染だろうと効果はゼロではないと思う。例えばサッカー。ゴールに対して中央に十字の形で2本のバーが追加されたらどうか。ボールの直径とは比較にならないレベルのガバガバーだが、これに弾かれて得点にならないボールも出てるのは直感として理解できるはず。

例えばパチンコ。玉の直径よりも大きな釘が打ってある。玉の落下は完全に阻害されるわけではないが、チャッカーへの玉の到達量は大きく減るし一つの玉が下に到達するまでの時間は明確に遅れる。

例・仮定
  • サッカーでゴール中央に十字のバーが追加された→優秀なキーパー
  • パチンコの釘→チャッカーへの玉の到達を阻害し落下への時間を稼いでいる

マスクの網目がいくらガバだろうと全部が素通りするわけはない。侵入に手間取った飛沫核が呼気で外に弾き出される事もあるだろう。

マスクしててもコロナが流行するのはなぜか

ただ実際にコロナは感染力の強いオミクロン株を中心に流行を繰り返している。昨年末にはある期間の感染者数で日本が世界最多となったニュースを見た。

その頃にはもう集計に力を入れていない国もあっただろうし、同時期の日本でマスクをしていなかった場合の世界線を観測する事はできないのでそれを持ってマスクの効果がないとは言えないが、確かに気になるところではある。

考えつく仮説は2つ。仮説①はコロナの感染力が強すぎてマスクの防御力では焼石に水という理屈。

例として書くと、感染者と対面して5分間会話を続けた場合の暴露量が感染ラインを大きく上回っていた場合、もはやマスクの装着・不装着は些事と言えるという事だ。

オーバーキルとまではいかずとも、同様の行動を繰り返す(ライフスタイル的に繰り返さざるを得ない)ならそれは試行回数が多いという事で、近い未来に当たりが確定している感染ガチャとも言える。

例・仮定
  • 感染者と対面して5分間会話を続けた場合のウイルス暴露量は10,000コロナだった
  • お互いにマスクをつけた場合ウイルス暴露量は90%カットでき1,000コロナだった
  • 実は一般的な感染ラインは100コロナだった→とっくにオーバーキル、ほぼ無意味
  • なんなら暴露量が10コロナだったとしてもその行為が日常茶飯事なら→10%で感染するガチャを何度も引いてる状態

そしてもう一つ、仮説②は主な感染経路が飛沫感染よりも空気感染という理屈だ。

実は飛沫感染は全体の20%に留まり、80%は空気感染によるものだったとしたら。人と喋る時にマスクに気を配っても、換気が不十分で空中にエアロゾルが充満していたら。

空気感染こそガバガバなマスクでは効果が薄く、何よりも場の換気が肝要なルートだ。N95のようなエアロゾルまで高効率でシャットアウトできるマスクをつけていてすら、その場にエアロゾルが滞留していて飲食時にマスクを外さざるを得ないなら感染もするだろう。

例・仮定
  • 実はコロナは8割が空気感染→いくら会話時にマスクをしていてもエアロゾルが充満する場で飲食するなら感染してしまう

特に①は大いにあると思っている。それによって「ミクロで見るとマスクにコロナウイルスの遮断効果はある」としつつ「マクロで見ると感染対策効果は限定的」と言えるのではないか。日本の感染者数の爆上げ理由はこんなところだと思う。

マスクは基本的に人と喋る際に飛んでくる唾/出す唾をシャットアウトするもので、空気感染するくらい汚染されてるエリアではマスクよりもとにかく換気が大事だ。

それでもマスクは個人ができる優秀な感染症対策

現実的にオミクロンほどの感染力を持ったウイルスの感染ガチャ抽選からは逃れられない人がほとんどだと思う。マスクでその時の感染が防げたとしてもライフスタイルが変わらなければ次以降の同様の機会で感染してしまう可能性が濃厚だろう。

しかしどれくらいの暴露量で感染するか・身体に入ってきたウイルスがどんなペースで増殖するかは個人によって違うので一律で無効とはならないし、焼石に水でもほんのわずかでも感染者を防ぐ事はできるはずだ。

そしてそれは社会にとって無意味ではないと考える。仮に感染症対策としての効果はほとんどなかった=感染を数日遅らせるだけだったとしても、それこそマクロ視点で考えれば行政や医療のリソース消費をなだらかに分散できたかもしれないので。

オミクロンは流行時に人と物理的に関わる生活を送っていたらかかるのが当たり前というくらい感染力が強い。それが家庭内も友人連中も職場も全員同時期に感染、日別感染者数の山がドカンとなっていたら医療崩壊の度合いもあんなものでは済まなかったはず。

今は安価でいつでもどこでも購入でき、手軽に装着できるマスクは総合的に考えて個人ができる優秀な感染症対策と言える。

マスクが必要な場面・不要な場面

3月13日からマスク着用が個人の判断に委ねられる事になる。

マスクをしてばかりでは子供の情操教育に影響を与える可能性があると思うし、閉塞感は精神衛生や経済マインドなども落ち込ませるだろう。どこかで外さないと永遠にマスクをする事になってしまう。ゼロリスク思考は失うものが大きい。

私は仕事もほぼリモートで通勤電車も時間を外しており、感染対策すべき場面がそもそもほとんどなく、1年以上前から以下のような感じで基本的にマスクをつけていない。もちろん感染歴もない。

そして前提だが、感染症の対策としてマスクをすべきなのは流行時だ。流行していないなら対策自体必要ない。流行しているかどうかはニュースの感染者数の多寡というより「自分の生活圏内・交友関係で感染者が出たかどうか」が目安としてちょうどいいと思う。

屋外

マスクはしない。私のライフスタイルでは歩きながら誰かと対面して喋る事はないからです。連れ立って歩く時もお互い前を向きます。走る時、自転車に乗る時も含め屋外はノーマスク。感染リスクは極低。これを気にするのはゼロリスク思考だと思う。

電車内

マスクはしない。私のライフスタイルでは一般的な通勤時間帯を外して電車を乗るので常に座席が埋まらない程度の混雑度で、不可抗力のくしゃみなどが出ても手や腕で防げる。5分に一度はドアが空くので換気も問題なし。感染リスクは極低と言える。

飲食店

マスクはしない。私の生活圏のお店はほぼ券売機 or タッチパネルですし1人で喋る事はないからです。飲み会等に行く時は喋らないと出席する意味がなく、マスクしながら飲食はできないので感染を覚悟して行く。あと調理する側は普通に汚いのでコロナの流行に関係なく常にマスクをしてほしい。

余談だが、パーテーションは飛沫防止とは別の理屈で逆効果となる可能性が示唆されている。

空気の流れを遮り、空気が滞留してしまう形でパーテーションが設置されている場合には、「感染リスクをむしろ高めることにつながる可能性もある」と坂本さんは指摘する。

リスクを高めるかどうかは、あくまで環境の条件次第だ。

「パーテーションは設置しないほうが良い、パーテーションは感染リスクを高める、といったわかりやすい答えが好まれがちです。ですが、現実はそのように単純ではありません」

アクリル板が「感染リスクを高める」「逆効果」?感染対策の専門家に聞きました

単純に飛沫をブロックするものとして活用されていても場の換気を妨げるケースがあるという事だ。エアコンの場所や間取りが画一的でない飲食店では感染リスクを上げてしまう店舗もあるだろう。

映画館

マスクはしない。映画館では誰も喋らないので。換気もバッチリ。

コンビニ・スーパー・買い物

マスクはしない。私の生活圏はセルフレジがほとんどなのと、そうでなくても今はどこでもビニールの壁で分かれているので店員に飛沫は届かない。セルフレジでなくビニールの壁もなく、声を出して注文する必要があったならその時は着ける。

満員電車

マスクをする。呼気が直接届くような密集時では息をするだけでお互いに不快だし、手や腕で抑える事もできない状態で咳き込む事もあるだろう。要するに飛沫が火を噴くシーンなので典型的なマスクの有効場面と言える。ノーマスクでくしゃみでもしようものならトラブル必至なのでそういう意味でも必須。

ただそんな密集時ですら「同じ通勤電車に乗った乗客ほとんどが感染するクラスター発生」という事態にはなっていないので、空気感染に対する換気は有効に働いていると考えられる。

病院

マスクをする。病院に来ている人というのは体調が悪い=免疫力や抵抗力が落ちている蓋然性が高く、取り込むウイルス量が多くなくても感染しやすいと考えられる。自分も他人もそんな状態の集団ならコロナの流行に関わらず原則マスクはするべき。

他者への干渉こそが最悪

コロナに関係なく、風邪やインフルやその他の感染症を防ぐ意味で病院や満員電車はマスクした方がいいと思う。これは普通に社会全体に良い影響を与えるはず。ポッケには常にマスク、というのがこれから数年はスタンダードになるだろう。

マスクは飛沫を防ぐものなので、必要なのは「遮る物なく対面して喋る時」と「不可抗力の飛沫が届いてしまうほど混雑している場」と考える。

1人で行動中、屋外から屋内に入る時に切り替えるようにマスクをする必要はないと思う。飛沫があるかどうかと屋内か屋外かは関係ないからだ。

屋外であろうと人と対面して喋るならマスクはした方がいいし、病院だろうと待合室に自分1人ならマスクは不要だ。飛沫がかかりかねない状況ならマスクは効果的。そうでない状況ならマスクの効果は限定的。

ただそれでも、来週ピアノのコンクールが控えていて絶対に感染するわけにはいかないという人は限定的な効果であってもマスク着用の選択をした方がいいでしょう。ないよりはマシだし周囲も気遣ってくれる。

例・仮定
  • 外せない予定があって今感染するわけにはいかない→安全側に振って常時マスクもアリ

論点を「マスク」に絞る必要すらない。マスク着用云々ではなく、そもそも来週の外せない予定の為に今日の用事はキャンセルするべきかもしれない。

あさって結婚式のスピーチ頼まれてるんで今日の飲みはやめときます、みたいな。それってコロナに関係なくごく普通の体調管理だよね。これで感染するのはもうマスクがどうという話じゃないと思う。

自分、同僚、友人、家族の体調とスケジュール。それらと現実の場の状況を組み合わせて総合的に自己判断する。ただの体調管理の一貫だ。オミクロン以降の比較的症状が判明してきているコロナに関してはそこまで難しく考える必要はないと思う。

マスクは着用にかかるコストが低い優秀な感染対策。それでも着用したくない人もいる。メガネが曇るのが不快な人もいるでしょう。息苦しいという人もいるでしょう。素材の肌への影響が心配な方もいるでしょう。着けたいのに紛失・破損してしまった人もいるでしょう。

最悪なのは他者への干渉だ。「飛沫感染する感染症への対策」を語るのに目の前の人間に飛沫を飛ばすのはどう好意的に見ても矛盾していて、場の管理者でもないのに他者のマスクの有無に言及するというのは狂気の沙汰。

その飛沫にこそウイルスは含まれており、発言行為こそが感染リスクだ。口論に発展すればなおさら。マスク警察は絶対的にNG。言うまでもなくマスクを着ける側への干渉も含め。

KiTsuneの見解
  • マスクは物理的に飛沫を防ぐ。大きい飛沫はカットするし何なら小さい飛沫核もある程度は防げる
  • ただオミクロンの感染力には焼石に水。感染ガチャを繰り返さざるを得ないなら日本の感染者の爆発も説明がつく
  • 安価でいつでもどこでも購入でき、手軽に装着できるマスクは総合的に考えて優秀な感染症対策
  • マスクが必要なのは「遮る物なく対面して喋る時」と「不可抗力の飛沫が届いてしまうほど混雑している場」の2つ
  • 他者への干渉、マスク警察は絶対NG。その行為こそ感染拡大の元

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新型コロナウイルスの感染対策に有用な室内環境に関連する研究事例の紹介(第一版) | siej.org

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